■用語解説
○行政官
 植民惑星の統治を行う。恒星統治省により任命される。
植民惑星においては絶対的な権限を持ち、ほぼ自分の判断のみで
統治を行うことが出来る。人員は不足気味。
優秀な人材が多いが、教育期間は非常に長期であり、経費と年月が
必要となることが問題視されている。
近年、長期睡眠教育の導入により教育期間と経費の短縮が
図られている。


○監査官
 植民惑星の状況や行政官の施政に問題が無いかを確認するため
各植民惑星を巡回査察する。行政官に対する告発権限を持つ。
訪問時期等は大抵行政官には知らされない。


○星系経営機構
 地球のある銀河とは異なる銀河にある、膨大な数の星系・惑星により構成される統治組織。
『経営機構』とだけ称される場合、この組織を指す。制度疲労、官僚化が進んではいるものの
高度な科学技術と強大な軍備を持ち、極めて拡大・覇権主義的で、他勢力に対して重大な
脅威となっている。積極的に未開星域や弱小な他勢力の勢力圏、他銀河への進出を図り、他勢力との
衝突も多いため必然的に強大な軍備を有するに至った。

 経営機構の構成種族は「ユージン」と自称・他称される、外見がホモ・サピエンスに酷似した
種族と、多数の植民星の原住民(運営には関与できず)である。文明化がなされ次第構成種族と
なるとされている。

 構成惑星は『中枢星』『自治星』『植民星』『開拓星』の四段階に
分類される。

・『中枢星』……星系経営機構の意思決定に参与する惑星。代表者を送る。行政官なし。
・『自治星』……自らの惑星内での政治を行う。意思決定には参加できず。行政官なし。
・『植民星』……行政官により統治される。惑星内での政治等行えず。
・『開拓星』……軍により「開拓」中の惑星を指す。この段階では植民は行われない。
「開拓」が終了次第行政官に引き継がれる。特段問題が無い場合は行政官が開拓を行うこともある。

○星系経営機構の形態
議会制民主主義の体裁を被った、官僚独裁(集団指導)政治である。首長は大統領であり
(統制主義的ではあるものの)資本主義社会である。
言論の自由は戦時体制であることから一定の規制をされているものの、ある程度認められている。
政治家には実質的な権限はほとんどなく、各省庁の力関係、綱引きにより政策が規定される。

・『大統領・政治府』……政治家の補佐を行う。発言権は小さい。
・『財政省』……財務を司る。予算方面を握ることにより、強力な政治力を持つ。
・『税務省』……徴税を司る。強権的な徴収を行うため、一定の軍備を持つ。
          ただし、権限の過半を財政省に支配され、財政省に従属する状態に近くなっている。
・『恒星統治省』……植民星系以下の星系を管理する官庁。一定の発言権を持つ。
・『軍事省』……経営機構軍の統括を行う。もっとも発言権が強力である。
・『警察省』……警察機構及び中枢星系周辺警備艦隊を統括する。軍事省に次ぐ戦力と、それに伴う発言権を誇る。
・『厚生省』……医療関係の統括を行う。
・『法務省』……検察関係の統括を行う。
・『食糧省』……食糧生産、配分を統括する。基本的に食糧生産は豊富なため、経営機構史上、配分に関する強権発動はほとんどない。
・『外交省』……外交機能を司る。惑星連合やトレーシスに対する度重なる失策から発言権、予算の制約が大きい。
・『経済省』……生産資源の配分、産業予算の奪い合いを行うことから軍事省と敵対的な関係にある。発言権は小さい。
・『総務省』……雑務を司る。災害対応機能(民事に限る)を持つが、平時における発言権はきわめて小さい。
・『交通連絡省』……星系間の連絡航路等の統括を行う。平時における機構軍輸送艦艇の管理を行う。極めて発言権が小さい。
・『惑星環境保全省』……惑星の環境の維持・調査・改善の助言を行う。極めて発言権が小さい。
・『文化省』……ユージンの教育機関の統括、及び支配下種族の文化維持・振興を行う。極めて発言権が小さい。

経営機構軍との関係で一定の発言権が留保されるが、経営機構軍からの軍事的な
介入は現在のところ(判明している限りでは)行われていない。


○ユージン
 類人猿と似通った生物より進化した種族。自らの種族を指すときには「人」という。対外的には「ユージン」
あるいは「大ユージン」と称する。ESP能力(念動、発火以外は公式には能力保有者はいない)を持つ者が
一定の比率で存在する。性格は傾向的に独善的、傲慢、攻撃的で機会主義者。


○星系経営機構軍
 通称『機構軍』。膨大な費用をかけ整備されており、高度な装備と多数の兵員・ロボットを持つ。
 一軍構成で、惑星への強襲降下等は常設の陸戦隊がこれを行う。
 機構軍は宇宙空間での戦闘が可能な艦艇(航宙軍艦と称される)を多数整備・保有しており、多くの艦隊を擁する。
戦力は極めて強力で、一艦隊を動員すれば一星系を塵に変える事もさして困難ではない。
ある程度の規模以上の艦艇は星系間航行が行え、その中の更に一部の艦艇のみ銀河間航宙能力を持つ。(必要とされる装備が高価なため)
 陸戦隊は大気圏内でのあらゆる戦闘が可能な編成をされる事となっている。
陸戦隊は「侵略防止」のため、中枢星・自治星に駐屯する。
辺縁や非友好勢力に近い植民星に対しても駐屯を行い、行政官の要請があった場合はこれに
応じる事が出来る。

○航宙軍艦(または航宙艦)
 所謂宇宙船に強力な武装を施したもの。少数の人間またはロボットが運用する。
火器は中性ビーム砲、反物質誘導弾、重力自壊弾、空間転移弾等を使用する。
交戦中は相互に高速で機動し、相対速度による大打撃が期待されることと
対惑星・衛星等の艦砲射撃に使用できる事から、古典的な質量弾も副次的な兵器として
採用されており、慣性爆雷や非ビーム砲も使用される。

・戦艦
 大火力・大防御力を誇る主力艦。建造経費が高価につく関係上比較的少数であるが
戦闘力は強力極まりなく、外星系での会戦で撃沈された艦は一隻しかない。

・巡洋艦
 植民星警備に使われる航行距離が長く軽武装のものと、激烈な戦闘や強行偵察に
使われる高速・大火力の二つのタイプがある。

・駆逐艦
 対突撃艇戦闘をメインとする比較的小型の艦艇。反物質誘導弾等で戦艦に
肉薄戦闘を挑む事もある。
高性能を要求される任務が増加したため、大型化の一途を辿り続け、巡洋艦に劣らぬ
艦艇規模・費用が必要となりつつある事から減少傾向にある。

・突撃艇母艦
 航空母艦的な運用をされる艦。航空機に当たる突撃艇を運用する。
陸戦隊を運用する能力を付与された艦艇は「強襲艦」と称される。

・突撃艇
 反物質誘導弾や重力自壊弾、空間転移弾など主力艦すら撃沈する
威力を秘めた「ミサイル」を回避が困難な近距離から叩き込むための小型艇。
有人型と無人型があり、無人型には反物質を満載した上で敵艦に
直接体当たりし自爆するタイプもある。
大気圏内での陸戦隊支援には地上攻撃に適した武装を施されたタイプが
よく使用される。

・戦闘衛星(厳密には軍艦のカテゴリーには含まれない)
 その名の通り衛星に徹底的に武装を施したもの。大量の武装を搭載可能であり、その
大火力は文字通り一つの星系を塵芥とすることが可能。移動に著しい経費が掛かるため
滅多に投入されないが、大規模会戦には必ずといって良いほど投入され、決勝戦力となる。
 資源採取の後放棄された衛星を改造したものや、全てを零から造り上げたものがある。
ダイソン球を改造したものが試作されたとの情報もあるが、詳細不明。

他にも様々な支援艦艇や雑艦艇が存在するが割愛する。

※搭載火器
・中性ビーム砲…荷電粒子砲と比して重力での偏向が少なく直進性に特に優れる。
・反物質誘導弾…反物質を弾頭とし、対消滅効果により敵艦に損害を与える。
・重力自壊(誘導)弾…命中箇所を中心に大重力を生じさせ、操縦者や制御系統を破壊、艦そのものの戦力を奪う。
・空間転移(誘導)弾…命中箇所から一定の加害半径を別の空間に吹き飛ばす。
・慣性爆雷…基本的に無誘導・無推進(若干の推進誘導機能付きの物あり)の通常爆弾。艦外に放り出すだけで使え安価。
・非ビーム砲…その名の通り、通常砲弾(榴弾・徹甲弾・榴散弾(広範囲への加害効果を評価されたため))を射出する。

 誘導弾はいずれも亜光速での機動・飛翔が可能であり弾頭だけでなく飛翔体も高価である。
対惑星・衛星等への艦砲射撃の際には経費節減のため弾頭のみを砲を用いて射出する場合も多い。

○ロボット
 ある程度の自立的意思を持ち、人間の命令によらず行動可能なものを指す。
地球におけるそれと意味はほぼ等しい。
 ロボットは性能と用途に応じて三文字の記号が与えられている。
『XQX』と表現され、頭文字が下記の用途、最後の文字が性能・権限を表す。
更に細かく性能を分類するために、最後の文字の後ろに数字1文字と記号をつける事がある。
一般にアルファベットが前で、数値が小さいほど高性能・権限大。
一用途に記号が複数割り振られる場合もある。(後述)
例:LQC2B…この場合、行政ロボットのC級、2Bレベル。

 ロボットには用途別に大別して『戦闘ロボット』『警察ロボット』『行政ロボット』
『産業ロボット』『個人用ロボット』がある。

・『戦闘ロボット』……軍のみが運用。比類なき戦闘能力を誇る。一体でも他のロボットでは
太刀打ちできぬため、軍以外の製造・保有は禁止されている。装備によっては暴徒鎮圧などにも使用可能。
一般に宇宙空間から水中まで使用可能。
記号はAQX。(特殊用途によってはAの後に(S)等の記号が付く)
・『警察ロボット』……警察が運用。戦闘ロボットに準じた性能を持ち、製造・保有は厳しく制限されている。
記号はPQX。
・『行政ロボット』……行政官が運用する。対植民者・住民との接触が必要なため、コミュニケーション能力が
最も高い。基本的には若干の暴徒鎮圧・警護能力程度の戦闘能力しか持たない。
警備に特化した『警備ロボット』も存在し、記号が異なる。警備ロボットの性能は警察ロボットに劣る。
記号はLQX、警備ロボットはLTQX。
・『産業ロボット』……企業が運用。用途は製造から未開地域での護衛、他企業との資源争奪戦闘等様々。
性能はまちまち。
記号はCQとされるが、必ずしも全ての企業がこの呼称を使用しているわけではない。
・『個人用ロボット』……個人が運用する。用途は多岐にわたる。
記号はOQ。


○行政ロボットについて
 LQ1は惑星ごとに特別に製作される。そのため、惑星が放棄される場合は
回収されること無くそのまま残置される。
LQ1はある惑星の反乱の際破壊されたことがあり、行政庁地下に防護されて
配置されている。そのため、主な指示はLQ2Aを通じ行う。

 行政ロボット(に限らず、全てのロボットは)一般に下級になればなるほど
能力が落ち、制限が増える。

 LTQXは緊急の場合を除き使用しないことが普通であり、普段は行政庁に
休眠状態で保管されている。
行政官に対抗しうる反乱勢力が横行する地帯では常時警備に付くこともあるが
そういった惑星は現在は少数である。


○行政官の統治
 一般に各惑星に最上位の行政ロボット一体(LQ1が普通その任に当たる)を配置し
他の行政ロボットに指令を与える。行政官は最上位行政ロボットに命令し施策を行う。
(下級ロボットにも命令は行える)
下位の行政ロボットも独立的に行動することも可能である。


○長期睡眠教育
 機械により対象者を強制的に長期間(最低でも数ヶ月)眠りにつかせ、睡眠教育を
実施する。大量の情報を効率的且つ強力に刷り込むことが出来、教育機関を短縮できる。


○星系経営機構の対抗勢力
・各惑星に割拠する星系もしくは惑星分離独立主義者
 「反乱分子」である。レジスタンスあるいはゲリラ。規模、主張はまちまち。
連携状況は距離などの関係から困難であるが一部では強力に連携し共同作戦を
行っているものも存在する。反乱勢力という性質上、優れた兵器の入手は困難であり
全体に脆弱であるが、分散しているため根絶は困難である。件数的な主敵であり
統治を根本より揺るがす存在であることから、経営機構は彼らをもっとも恐れている。

・トレーシス
 鳥類から進化したと経営機構により推測されている異種族。「トレーシス」という名称は
捕虜より得たものを経営機構共通語により発音できるようにしたもので、正確な発音ではない。
経営機構の存在する銀河とは異なる銀河より押し渡ってくる。科学技術的には若干経営機構よりは
劣るものの、策源となっている勢力がかなり強力である(と推測されている)ことと、トレーシス側の
指導者層が橋頭堡を重視している(と推測される)ため増援を大量につぎ込んでおり、若干
能力の勝る機構軍の猛攻に関わらず戦闘は拮抗状態にある。機構軍の航宙軍艦に対抗しうる能力を持つ。
(銀河間航行能力は経営機構も保有)
現在停戦交渉が進められているものの、ほぼ暗礁に乗り上げた状態である。

・惑星連合
 経営機構の脅威に対抗すべく、経営機構と非友好・敵対的な種族の星系・惑星で構成された組織。
(意思が統一できていないため)統一的な軍備を保有せず、技術力はまちまちである。
構成星系・惑星は増加の一途を辿るものの(離間し経営機構に屈服した星系も少ないものの存在する)
勢力としては経営機構に遥かに劣る。
数次の交戦では苦杯を舐め続け、複数の星系が既に消滅している。

・非酸素生物群
 水素生物や珪素生物等、酸素呼吸をしない生物の築いた文明勢力。思考も文明形態も全く異質であり
殆ど未知の勢力である。「群」とあるとおり全てが何らかの統一された同盟などの下にあるわけではない。
全てが全て敵対的なわけではなく、経営機構と友好関係にあるものから、全ての(同じ水素生物や珪素生物を含む)
勢力に対し敵対的なものまで様々である。

 

○銀河系
 ユージンの確認・探査し得た範囲では、銀河系は四つある。
彼らの区分においては
・第1銀河系……ユージンの本星がある銀河系。彼らによって過半が制圧されている。第2、4銀河系への転移点あり。
・第2銀河系……ユージンから見た不倶戴天の侵略者「トレーシス」の本星及び勢力宙域がある銀河系。第1銀河系との相互転移点あり。
・第3銀河系……存在及び第1銀河系への一方通行転移点あり。ユージンの手がほぼ及んでいないため
           詳細は不明。数次の観測艦隊は全て行方不明。
・第4銀河系……太陽系第3惑星『地球』のある惑星。第1銀河系との相互転移点あり。現在はユージンが橋頭堡を構築中。
           ちなみに、現地呼称で「地の球」という意味の惑星は数多いため、ユージンは独自呼称をもって惑星を呼んでおり
           地球は第四銀河STN38恒星系第3惑星と称されている。

 

○各銀河系への移動
 それぞれの銀河系は通常の超光速航法(いずれの航法でも差し支えは無いが、到達時間に大きく差が生じる)
でも移動可能ではあるが、大幅な時間が掛かるため、転移点と称されるワープポイントを用いる。
 ただし、相互移動に当たり、転移点が発見されていない(存在しない?)銀河も存在し、用いる超光速航法に
よっては、たどり着けないことすらある。

 

○転移点
 銀河系を繋ぐ特殊なワープポイントの一種。一銀河系に一つとは限らないようである。
必ずしも相互通行ではなく、一方通行の場合もある。
当然、重要な戦略的要地であり、争奪戦が行われる事もある。
(ユージンとトレーシスの争いは転移点を巡るものである)

 


※若干内容等訂正の可能性があります。