オンリー・ザ・スコップ
「廃墟の町・・・・・・ですか・・・・。」
手榴弾数個装備の防弾ベストに身をまとい背中にスコップとRPGを背負いAK−47を
右手に持っている栄子は周りを見回しながら呟く。
「私は場所より栄子さんの装備が恐い・・・・・・。」
苦笑しながら闇呪猫。
戦闘トーナメント・・・・・・その第一回戦が廃墟の町にて始まろうとしていた。
場所はダイスによるランダム・・・・そしてこの場所が選ばれたのだった。
「装備も恐いしこの場所は栄子さんの方が有利ねぇ〜」
「ラッキーってやつですね。」
少し焦りを見せる闇呪猫に対し冷静にAK−47の動作確認をする。
そして“さて”とマガジンを取り付け直し栄子は真っ直ぐ闇呪猫を向く。
闇呪猫も栄子を向き口元に笑みを浮かべる。
「さて、始めるわよ栄子さん。容赦はしないからね。」
「それはお互いさまです。行きますよ!!」
最初に動いたのは栄子、AK−47の引き金を引き、銃弾をばら撒く。
闇呪猫は走り出し一気に廃墟へ飛び込み弾丸を避ける。
栄子は素早く手榴弾のピンを抜き、闇呪猫の飛び込んだ廃墟に投げ入れる・・・そして爆発。
砂煙が収まり始めると栄子はAK−47を構え、一気に廃墟に突入する。
「いない・・・・?」
そこは手榴弾の爆発の痕跡はあるものの、闇呪猫がいなかった。
栄子は背後に気配を感じ振り返った瞬間、腹に強い衝撃が走る。
「やっぱり私は接近戦むきじゃないわね。」
少し後退したがすぐにAK−47を構え直す栄子の目の前に現れた闇呪猫が少し右手を痛そうにしながら呟く。
栄子の腹に衝撃を加えたのは闇呪猫の拳だった。
「いつの間に私の後ろについたんですか?」
「影から影への移動・・・・シャドウゲートを使ったのよ。
もう、栄子さんの体は隅から隅まで知っているからね、栄子さんの影を利用するなんて
簡単なことなのよ♪」
栄子は青い顔をして銃を落としそうになる。
「あう、その発言はあ〜ゆう事とかこ〜ゆう事とかを私達に期待している
方々に誤解と妄想のタネを与えてしまうので止めてください・・・・。」
「もう〜いいじゃないの♪」
「よくありませんっ!!!」
AK−47を発砲すると闇呪猫は自分の影にもぐりこみ栄子の影から出てくる。
「シャドウボー・・・・うわっ!!」
魔法をぶつけようとした闇呪猫の顔面にAK−47の銃身が迫り、ギリギリのところで身を屈めて避ける。
「銃にはこういう使い方もあるんですよ。」
“それ、反則でしょ。”と言いつつ闇呪猫が後ろに飛び距離をとる、その無防備な状態
を栄子は見逃さず背中に背負っていたRPGを構え発射する。
「容赦ないわね、まったく・・・・シャドウボール!!」
栄子のRPGに闇呪猫が放ったシャドウボールが当たり凄まじい爆発と衝撃が二人を襲った。
「ふぅ・・・・。」
栄子は自分の上に落ちてきた瓦礫をどかし、服についたホコリを掃いながらため息をつく。
「さて、これで闇呪猫さんがやられるはずは無いですからね・・・・どんな攻撃を仕掛けてくるのやら・・・・・・。」
「汝の愚行に果てた哀れな者よ・・・今こそ彼の怨みを示せ!!サモンハート!!」
「クッ!!」
いきなり上空から複数の大鎌が振り下ろされるのを栄子は地面を転がって避け、
闇呪猫の声のした方を向く栄子の顔に苦笑が浮かぶ。
「成長モードですか・・・・・・・・。」
瓦礫の上で成長姿の闇呪猫は嬉しそうにニヤリと笑う
「イッツア、ショータ〜イム、なんてね♪ダーククラウド!!」
闇呪猫が叫ぶと空が黒い雲に覆われ、雨が降り出す。
「雨・・・・・・・これはっ!?」
栄子は自分の服の袖が溶けて行くのを見て驚きの声を上げる。
「そう、強酸性の雨、酸性雨ね。さぁどうするのかしら・・・・。」
栄子が急いで他の廃墟の建物に飛び込む姿を見ながら闇呪猫は次の魔法を繰り出す。
「月に惹かれし大海よ、彼の地を包め!!ルナティックノア!」
地響きと共に、地面を巻き上げて水が噴出し栄子の飛び込んだ建物を一気に押し流す。
「かはっ!!」
なんとか水の流れに逆らい栄子が顔を現す。AK−47は流されているらしく持っていない。
「シャドウクランチ!!」
間をいれず呪文を唱えると影が栄子の足に噛み付き束縛する。
「さ・て・と♪」
闇呪猫は妖しい笑みを浮かべ、栄子の防弾ジャケットを手榴弾ごと脱がせて後ろに投げ捨てる。
そして手を妖しく動かしながら微笑む。
「フフフフフフフ♪」
「な、なんですかその笑いと・・・・・・その妖しく動かしている手は!?」
栄子の胸を軽くツンツンと突付いたあと一旦離れ闇呪猫は叫んだ。
「そりゃ〜レッツ・レズレズターイム!!」
闇呪猫が栄子の服に手をかけようと近づいた瞬間、栄子が服の袖から隠しナイフを取り出
し闇呪猫に向けて投げる。
「あま〜い♪私が避けられないと思ってるの?」
「いえ、避けてもらっていいんですよ。」
栄子の笑みに闇呪猫はナイフの飛んだ先を見るとそこには先ほど投げ捨てた手榴弾があり
「しまったっ!!」
ナイフはうまく手榴弾のピンの穴に入り、ピンを抜く・・・・・そして爆発。
背中から爆発の衝撃を受けた闇呪猫が吹き飛び、シャドウクランチが消え、栄子は自由になる。
そして吹き飛んできた勢いを利用して闇呪猫の腹に膝蹴りをめり込ませ、アッパーで闇呪
猫の体を浮かす。
「カハッ!!」
「これで決めますよ!!!」
栄子は背中に背負っていたスコップを取り出し両手で持ち。落ちてきた闇呪猫の
体に叩き込む。
闇呪猫の体はボールのように吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。
そして苦しげに膝をついた闇呪猫の首筋にスコップの先が押し付けられる。
「さすがね・・・・栄子さん。。もう動けないわ・・・・。」
「・・・・・・・・・・・フフフ。」
「栄子さん、何を笑って・・・・・うっ・・・・。」
闇呪猫は見上げて栄子の顔を見た瞬間冷や汗を流し、口を紡ぐ。
どんな顔をしていたかは読者のご想像にお任せしよう。
「戦闘に私情は挟まないほうがいいですよ・・・・胸・・・・胸なんか!!」
栄子はスコップを首筋から離し、近くの巨大な瓦礫を叩き始める。
「ごめん、ごめんなさい、だから落ち着いて栄子さん!!」
「まな板で何が悪い!!胸なんかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その数時間後、某所医務室にて闇呪猫は眠りながらもうなされていた。
“ああ、ごめんなさい、ごめんなさぁ〜い、ゆるしてぇ〜”
と言いながら・・・・・・・・。
他のトーナメント出場者が栄子に闇呪猫が何故うなされているのか聞いたが
栄子はケロッとした顔で首を横に捻り言ったそうだ。
「さぁ、私が気がついたときはもうあの状態になってましたし・・・・皆さん、何か知ってます?」
【×】闇呪猫VS栄子【○】
END
【後書き】
ご、ごめんなさい、キャラのイメージがスッゴイ変わっている気がしまふ。
え〜と感想待ってます。